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文芸雑誌『四人』のご紹介
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『四人』 第105号
令和3年12月31日発行

(表紙の写真 ガンジス川の夜明け)
撮影・解説:山本悦夫
ベナレスはイギリス領有時代に付けられた地名で、現在ではヴァ-ラーナシと呼ばれ、デリーから八百キロ東にある。デリーから行くには短期旅行だと飛行機がバスや鉄道などより一番楽で安上がりな交通機関で、一時間以内で着いてしまう。日本では、遠藤周作の『深い河』で有名になった。
本来は、ガンジス川に注ぐアッシ川とヴァルナ川とに挟まれた場所をカーシと呼び、そこにはカーシ王国があった。カーシ王国は紀元前五世紀の釈迦の時代までは最強の国だった。釈尊はヴァーラーナシ近郊のサルナート(鹿野苑―始転法輪の地))にはしばしば説法に訪れたが、バラモン教の勢力が強固だったヴァーラーナシには入れなかった。
ここにはベナレス・ヒンズー大学(BHU)の広大なキャンパスがある。インド学研究のメッカと言われる同大学は、世界各国から多くの留学生が集まり、敷地内に飛行場や二十六のドミトリーがあるアジア屈指の大学である。ヴァーラーナシは、モディ首相の選挙区だ。初めての就任演説をベナレス・ヒンズー大学で行った時に、筆者はその場面に出会したことがあった。